福岡県の博多警察署で、ベトナム国籍の男性が自ら出頭し、逮捕されるという衝撃的な事件が発生しました。彼は「お金がないから強制送還してください」と訴え、帰国を望んでいたにもかかわらず、法を犯す結果となりました。逮捕されたのは無職の40歳の男性で、技能実習生として日本に来てから約1年の間に不法滞在していたとされています。
彼の自首は、単なる個人の問題にとどまらず、技能実習制度の深刻な構造的課題を浮き彫りにしています。男性は在留期限が切れていることを認識していたものの、帰国するための費用が捻出できず、最終手段として自らを犯罪者として名乗り出ることを選びました。このような状況は、制度の不備がもたらした悲劇と言えるでしょう。
警察は、彼が退去強制の制度を利用しようとした可能性を示唆していますが、この一件は、技能実習生が直面する現実の厳しさを示しています。低賃金で働かせる企業の責任が問われる中、実習生が帰国すらままならない状況に追い込まれることは、社会全体の問題です。
ネット上では、彼を日本に呼び寄せた側に責任があるとの意見が多く寄せられています。帰国費用を事前にデポジットする制度の導入を求める声や、受け入れ企業に対して何らかの責任を問うべきだとの意見も見受けられます。この問題は、単なる個人の苦境ではなく、制度そのものの見直しが求められる緊急の課題であることを示唆しています。私たちは、この構造的な問題の根源を真剣に考えなければなりません。