フジテレビにおいて、権力構造の深刻な歪みが第3者委員会の調査報告書で明らかになった。特に注目を集めているのは、昨年1月に取締役相談役を退任した冷え田久志氏を巡る問題である。報告書によると、2022年9月に行われた安倍晋三元首相の国葬に関する放送が、現場の判断を無視して突然時間変更されたという。この決定は、元代表取締役社長の宮内氏や冷え田氏を含む幹部の影響を受けた結果であり、国葬を担当するアナウンサーの中立性が疑問視される状況が生まれていた。

報告書は、上層部が強引な判断を下したことに対して厳しい指摘を行っており、「編成権の侵害」とされる事例が浮き彫りになった。また、元タレントの中井正氏による女性アナウンサーへの性暴力問題も認定され、フジテレビ内部の権力構造と風土の歪みが強調された。このような状況下で、冷え田氏は責任逃れをする形で取締役を退任したことが疑問視されている。

新たに社長となった清水氏は、冷え田氏の影響を強く受けた人物であり、彼が取締役を辞任した後のフジテレビの再生が可能かどうか、多くの疑問が残る。さらに、冷え田氏の退任に伴う退職金の支払いについても、株主や従業員からの不満が予想されている。調査報告を受けて、メディアからの反響や今後の展開に注目が集まる中、フジテレビの改革が実現するかどうかは依然として不透明な状況である。